脳神経ファイル
診療時間
時間/曜日
9:00−12:00
14:00−16:00
リハビリ/検査
17:00−20:00
※○は診察、△は検査およびリハビリのみ、
 −は休診です。
※土曜日は、9:00−13:00まで診療致します。
※休診日 木・日/祝日
※脳ドックは、随時受け付け致します。
診療科目
脳神経外科(MRI/CT検査)
内科・脊椎外科・リハビリテーション科
かづきクリニック
かづきクリニック
〒630-8115
奈良市大宮町5丁目1-10-1
TEL:0742-32-3201
※駐車場あります(20台)
クリニック前駐車場(3台)、第二駐車場(14台)
当院西隣の伏見駐車場の1番、2番、3番が使用できます。
駐車場位置については、受付でご確認ください。
ここでは毎月一回、マイタウン奈良に掲載されている輝いて生きるために/脳神経ファイルを紹介させていただきます。
脳と神経に関する病気や症状について少しでも知っていただくことで、無用な心配をせずにすむように、また必要な診療を受けていただけることの一助になればと思います。
※ファイルをご覧頂くには、タイトルをクリックしてください。
 もう一度クリックしますとファイルが閉じます。
2013年度

・開院12年年末(2013.12)

今年もはやいもので、残すところあとわずかになりました。当院もまる12年、干支が1周して、10月からは13年目に入っています。この12年の間、社会は大きく変化しました。来年からは消費税が増税され、前期高齢者の方は2割負担になり、健康を取り巻く環境もますます変化していきそうです。そんな変化の中でも、日本人の平均寿命は今年も更に延び、高齢化社会はどんどん進んでいます。脳神経外科クリニックを開院した当初、皆さんの脳外科領域での主な心配事は、将来の脳梗塞への不安でしたが、今では、それに加えて、将来の認知症への不安がかなり強い様です。認知症という言葉も12年前はまだ痴呆症とよばれていましたが、そんなことを皆さん忘れるぐらい、物忘れと言えば「認知症」と、何ら違和感なくその言葉は浸透しています。それほど、認知症に対する関心が高いとも言えます。頭痛やしびれ、めまいがあっても、病院などでは検査が予約になり、不安な時にすぐにMRI検査などをできるところがなかったため、何とかすぐに診断し、異常がなければ無用な心配をせずにすむためのクリニックを作ろうと、MRI検査が受診当日でも可能な脳神経外科クリニックを開設しました。この12年間で多くの方の診療に当たらせていただき、現在も様々な方が日々、受診していただけていることは、当初志したことが決して間違ってはいなかったものと、少しだけ自負しています。今ではそれに加えて認知症であるかないか、将来認知症の危険性が高いかどうかなど、より多くの様々な疾患に対して、より迅速に的確に診断することが求められるようになってきています。そのためには、今後も益々、当院だからこそ蓄積された経験と、それに基づいた診断能力を今後更に発展させて、検査機器だけではなく、人と人との関わりを通じて、よりよい診療ができればと思います。今年一年この欄におつきあいいただきありがとうございました。来年もがんばりますので、よろしくお願いいたします。

・認知症の進行と治療(2013.11)

インフルエンザの予防接種も始まり、すでに冬がそこまでやってくる季節になりました。気温が下がると血圧が高くなることが多く、脳卒中が増えます。高血圧の方はご注意を。さて、この欄でも何度か認知症については書いていますが、今回も認知症について。
我が国の認知症の方はすでに500万人弱に達していると言われています。年々多くなる最大の理由は「高齢化」につきます。以前、あまり診断されなかったのは、発症するより寿命が短かったためと考えられています。最近の研究ではアルツハイマー型認知症(AD)の原因はある特殊なタンパク質が脳神経細胞に蓄積することにあることがわかってきましたが、このタンパク質はすでに40歳代頃から蓄積が始まっていることもわかってきました。つまり、ADはすでに40代で進行し始め、30年以上かけて徐々に蛋白が蓄積し、やがて70代から80代にかけて症状が出だすことになります。症状が出てきた時点ではすでにかなり進行した状態とも言えます。それでは、すでに40代から進行してきている病気に対して、症状が出てきてからの現在の治療はすでに手遅れでしょうか。決してそうではなく、症状の進行を抑制するという点では、最近のいくつかの内服薬は効果があります。経験的なものですが、以前は数年で多くの方の症状が進行し、日常的に介護が必要な状態になっていましたが、内服薬ができてからは、何年もの間、ある程度記銘力低下の進行はありますが、日常生活は一人で過ごせる方がかなり増えてきています。その意味では症状が出た時点で、疾患としてはすでにかなり進行している状態かもしれませんが、症状がでてきてからでも、できるだけ早期の診断と治療がその後の人生を有用に過ごすためには、有効になっていると考えられます。

・健康寿命と健診(2013.10)

朝夕はめっきり気温が下がりましたが、10月なのにまだまだ暑い日があったり、体調管理が難しい季節ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。
血液検査や心電図検査を受けることのできる特定健診は現在では7月以降から行われていますが、以前は秋に基本健診という名称で実施されていたこともあり、涼しくなると健診を受けておきましょう、という方が現在も多いように思われます。ただ、特定健診を受診される割合は奈良市では25%前後で県内でもかなり受診率が低い方になっています。いわゆるメタボ健診といわれる現在の特定健診が、どの程度個々の健康管理に役立っているのか?と疑問に思われる方や、病気でもないのでわざわざ医療機関を受診するのが面倒と思う方、自分はまだまだ健康で大丈夫と思われている方などが、75%前後ということになるのかと思います。健康寿命とはあまり聞き慣れない言葉ですが、厚生労働省によると「日常生活に制限のない期間の平均」ということで、わかりやすく言えば、寝たきりになるなど、介護の必要性がない平均年齢ということになります。日本人の平均寿命が男女でそれぞれ80歳前後に対して、健康寿命は男性70.4歳、女性73.6歳となっています。
つまり、日常生活に制限があったり、介護などを必要とする期間が10年程もあるということになります。健康で長生きが誰しも望むところですが、この10年もの差はややショックなような気もします。介護保険利用者のかなりの方に、生活習慣病を合併した、脳卒中後遺症の方が多いことから、現在、この10年の差を縮めるためには早期に生活習慣病を改善し、脳卒中の予防に努めることが重要であると言われています。特定健診は年に一度、生活習慣病の有無をチェックする良い機会です。健診を受けていただき、脳卒中予防に努めることで、ご自身の健康寿命を延ばしていただければと思います。

・脳と耳鼻科疾患(2013.09)

例年以上に厳しい暑さの夏も、台風や竜巻とともに過ぎ去り、少し過ごしやすい秋の空気になってきました。夏は、脳梗塞が多くなる季節ですが、涼しくなったからと行って油断は禁物で、普段動脈硬化が強いと言われるような方はやはり水分摂取は十分するように気をつけてください。さて、以前、眼科疾患と脳には関連するものが多くあるとこの欄で書きましたが、もう一つ脳と密接な関連があるのが耳鼻科的な疾患です。当院へも耳鼻科の先生からはMRI検査を依頼されることがありますが、多くの症状は、めまい、難聴、耳鳴りといったごく一般的な耳鼻科的な症状です。ほとんどの場合こういった症状の原因で脳神経外科的に心配なものはないのですが、めまいであれば脳梗塞、難聴や耳鳴りは脳腫瘍などが、まれに検査で見つかることがあるため、耳鼻科的な検査をしても問題がないようなめまいや、聴力がなかなか回復しないような突発性難聴、やはり原因がわからないような耳鳴りが続く場合は検査が必要になります。通常、脳梗塞は手や足に麻痺が出たり、呂律が回りにくいといった症状が主なものですが、小脳に梗塞を来した場合は歩行時のふらつきと、めまいが主な症状になります。また脳腫瘍も頭痛や吐き気といった症状が一般的ですが、聴神経と呼ばれる、音を聴くための神経から発生する腫瘍は聴神経腫瘍といって、難聴や耳鳴りで症状が出てきます。また、頭痛で忘れてはならないのが副鼻腔炎です。鼻の奥から前頭部にまで炎症が広がるとかなり強い頭痛をきたすことがあります。いずれもMRI検査など頭蓋内の精査をしなければわからないことが多く、気づかれずに経過を見ているうちに、脳梗塞であれば再発を繰り返したり、聴神経腫瘍であればかなり大きくなって、重篤な症状を来して初めて診断がつく場合もあります。耳鼻科的な疾患と脳にも密接な関係があることを知っておいていただければと思います。

・アルツハイマーは心配ない(2013.08)

残暑お見舞い申し上げます。今年は特にゲリラ豪雨が頻繁で、猛烈に雨が降るとたいてい雷もゴロゴロと鳴り出しますが、当院にとって雷は大敵で、昨年に続いて今年も、雷で一瞬停電したかと思うとMRIがストップしてしまいました。すぐに復旧するかと思いきや、これがなかなか難しく、その日は検査ができなくなってしまいました。
さて、そのMRI検査ですが、多くの方はそれぞれに頭痛や、めまいなど様々な症状を訴えて受診され、問題がないかチェックするのですが、検査でおおむね問題がないとわかれば、ほとんどの方が、症状とは別として「アルツハイマーは心配ないですか?将来ボケませんか?」と聞かれます。以前なら、「将来脳梗塞になりませんか?」ときかれることが多かったのですが、今は皆さん将来の認知症の方がすごく気にかかるようです。この質問に対して、いつも返答に悩むのですが、MRIで脳の萎縮や動脈硬化がかなり強くて、今現在、物忘れが進んできているのであれば、アルツハイマー型の認知症(AD)や脳血管性の認知症の診断はつきます。しかし、萎縮や動脈硬化が進んでいても、将来認知症になるとは限りません。つまり、MRI検査をみて、「アルツハイマーは心配ないですか?」と聞かれれば、萎縮性変化などがなければ、今は大丈夫、しばらくはだいじょうぶ、とやや曖昧な答えしかできません。MRIでは、強い動脈硬化が進んでいたりすれば将来の脳梗塞の危険性が高いとか、血管撮影で動脈瘤が見つかれば、くも膜下出血の危険性が高い、などのことはある程度説明できますが、残念ながら、将来ADになるかどうかはわかりません。ADの発症には特殊なタンパク質が原因していることまではわかってきましたので、将来MRIで特殊な蛋白が検出できれば、発症前にADの診断ができるのでは、と考えていると、今も外でゴロゴロと音がなり出しました。どうか停電しませんように・・・

・脳には水分を(2013.07)

今年の夏も暑い!毎年この季節になると書いています。「水分をとりましょう」と。また今年も同じことを書いているかと思われますが、やはりこれだけ暑いと、書かずにはおられません。夏は脳梗塞に注意!。脳出血は血圧の上昇とともに増えますので、冬に多いのですが、脳梗塞は、むしろ夏に多いと言われています。この理由の多くは水分バランスがくずれるためと考えられています。体の水分が少なくなると、血管の中も水分不足になり、いわゆる血液がドロドロの状態になります。普段、動脈硬化が強い方はより血管が詰まりやすく、脳梗塞になりやすいと言えますが、そうでない方でも、極端に脱水が進行する場合、特に汗だくになって水分補給を十分せずに、ビールを飲んだり、サウナに入った場合などには脳梗塞が起こりやすくなります。樹木などに水をやらないと、末梢の枝葉から枯れてくるのと同じで、詰まる血管は比較的末梢の細い血管に多いのですが、場合によっては何カ所も詰まっていることもあります。症状は細い血管ですので、どちらかというと軽い場合が多く、手のしびれや字が書きにくい、いつもより少し呂律が回りにくい気がする、何となく下肢があがりにくい、など限局した症状です。軽いがゆえに症状がわかりづらく、脳梗塞とは思わずに様子をみているうちに症状が進行したり、かなり日がたってから、やはりおかしいと思って受診される方が多く見られます。また、一過性脳虚血発作といって、何度も脳梗塞症状が起きては数分程度でよくなることを繰り返し、やがて大きな脳梗塞になることもあります。脳梗塞は早期の診断と治療が重要です。暑い時期、まめに水分を補給し、しびれや脱力など、おかしいなと思うことがあれば、いつでもご相談いただければと思います。

・認知症 遺伝する?(2013.06)

「認知症は遺伝しますか?」、「親が認知症になったので、自分も最近物忘れがあり心配で」というようなことは日常診療の際によく相談されます。認知症の中で最も多いのがアルツハイマー型認知症で、みなさんすでにご存じかと思いますが、徐々に進行する記憶力の低下と、日付や場所がわからなくなる見当識障害が症状の中心でやがて生活に支障を来し、意思の疎通が図れなくなる様になります。高齢化が進んだ日本ではすでに100万人とも200万人とも言われています。しかし、認知症が遺伝するかについては、「家族性アルツハイマー病」と言われる、疾患にだけ遺伝性が明らかになっていますが、これはきわめて希な場合で、大部分のアルツハイマー型認知症について、遺伝性はないか、あってもかなり少ないと言えます。ただ、様々な調査で、遺伝性とは言えないまでも、50歳代半ばまでに認知症を発症した身内がいる場合、アルツハイマー型認知症を発症する危険度が約20倍程度になると言われています。また、糖尿病のある方は1.5倍程度、魚を食べない人はよく魚を食べる人より5倍程度、本症のリスクが高くなると言われています。これは、遺伝というよりは、親から子へ同じような生活習慣を受け継いでいる場合に発症しやすくなるものと言えます。「認知症は遺伝しますか」と言われれば、遺伝性はきわめて少ないとは言えますが、「親が認知症になったので心配」といわれれば、生活習慣をある程度受けついているので、糖尿病を始め生活習慣病などの危険因子が親子で同様なものがあれば、発症しやすくはなると言えるかもしれません。このような場合、必ずしも認知症になるわけではありませんが、生活習慣病を予防するに超したことはありませんし、心あたりのある方は一度MRIなどの検査を受けておくのもよいかと思います。

・EPAとDHA(2013.05)

いきなりアルファベットばかりです。
青魚が身体に良いことは以前から言われていることですが、科学的に証明されたのは40程度前の比較的最近の事です。グリーンランドに住む人々で、魚やアザラシしか食べない人々は、血中の脂質が低く、動脈硬化性の病気が少ないことが報告されました。この原因として、魚に多く含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)とEPA(エイコサペンタエン酸)という物質が動脈硬化を予防したり、血液をサラサラにしたりする作用があることが判明しました。以後EPAとDHAには、様々な面で身体によい働きをすることが報告されるようになってきています。特にEPAでは血管に対する作用が強く、動脈硬化、脳梗塞の予防に役立ち、DHAは脂質を低下させる作用などに加えて、脳に対する働きが特徴で、ごく最近もiPS細胞研究所がアルツハイマー病が抑制されるとの報告をしています。EPAとDHAは体内で作られる物ではありませんので、青魚などの食事から摂取することが必要になりますが、最近の日本人の食生活では必要量が不足していると言われています。食事以外では、様々なサプリメントがありますが、近年、EPAについてはエパデールという薬品名で、薬剤として開発されています。当院でもMRIなどで動脈硬化性変化が強く、明らかな血管の詰まりのない方にはアスピリンなどの脳梗塞の予防薬よりは、様々な作用があり、副作用が少ない点で、脳梗塞予防のためにエパデールを処方することが多くなっています。また最近ではEPAとDHAを両方含んだ薬品も製品化されています。EPAとDHA、いずれも自然界にある物質で、必要以上に摂取することがなければ安全性は高く、特に高脂血症がある方で、動脈硬化性変化が進んでいるような方は、魚を多く食べるなど、積極的に摂取していただければと思います。

・脳梗塞の症状(2013.04)

患者さんに良く「脳梗塞になったらどんな症状になります?前触れはありますか?」と質問されます。きちんとお答えするにはかなり時間を必要とするので、その場では「まあ、手足に力が入らなかったり、しゃべりにくくなったり、急になることも多いですねー」とやや曖昧に答えてしまうことが多いのですが、厳密には、様々な症状と発症の仕方があります。まず、脳梗塞とは脳の血管が詰まる病気ですが、その症状は、詰まった血管が脳のどの部分に血流を送っていたかによります。脳には場所によってそれぞれに役割分担があり、顔を動かす神経や、手足を動かす神経などそれぞれの神経の通り道が決まっています。太い血管が詰まったような脳梗塞の場合、広い領域の神経の通り道が障害されるので、片方の手足が動かせないことに加えて、言葉も出ないなど、かなり重症になりますが、細い血管が詰まるラクナ梗塞と呼ばれる脳梗塞の場合、ごく小さな領域の梗塞で、しゃべりにくいだけ、手に力が入りにくいだけ、などその症状も限られたものになります。物を見る神経の領域では物が二重に見えたり、視野が欠けたり、平衡感覚の領域の梗塞ではめまいや吐き気などの症状になります。さらに発症の仕方も様々で、急に血管が詰まれば症状も急で、ある日突然、ということになりますが、動脈硬化が進行し、かなり細くなった血管が塞がっては開通し、また塞がっては、ということを繰り返すこともあります。この場合、急に症状が出たかと思えば数分後には良くなっていた、という風に脳梗塞の前触れが繰り返すことになります。脳梗塞の症状は?と言っても実に様々で、発症の仕方も様々です。「この症状なら大丈夫」と言える物は少なく、時間と共に進行することもあり、早期の診断が必要になります。気になる症状が出れば、早めの受診を。いつするか? 「今でしょ!」

・眼科症状と脳神経(2013.03)

当医院では受診していただいたその日のうちにMRI検査など必要な検査と診断が可能なことから、他院からのご紹介の方も数多く診させていただいております。中でも眼科からの診療依頼は内科や耳鼻科からの依頼と並んで、毎日の様にあります。一般には関連がないように思える眼の症状が、脳の病気と関連する可能性が高いことがわかります。当院へ紹介いただく眼の症状で多いものは、視野の一部が欠けている、ものが二重に見える、視力が低下してきているなど、かなり一般的な眼科症状がほとんどです。眼科医によっては頭蓋内の検査などせずに、経過を見るようなこともあるかと思いますが、常に頭蓋内疾患からの可能性を考慮している眼科医にとっては、MRIは重要な検査で、精査をした結果、脳血管障害や脳腫瘍などが見つかることは、まれならずあります。この1ヶ月をみても、眼科医からの紹介で受診された方の中には、ものが二重に見えたとの症状で脳幹部の梗塞が、視野の一部が一時的に暗くなったとのことで、頚動脈の狭窄が診断され、いずれも治療を必要とする血管障害が見つかっています。また、視野の一部が見えず、他院では緑内障と診断されていたものが、大きな下垂体腫瘍で、強く視神経を圧迫していたものもあります。眼を動かす神経や筋肉には脳神経が、網膜や視神経へは脳の血管や下垂体が関係していることから、眼科症状と脳神経が密接に関わっていると言えます。
どの症状もその気になって検査をしないと診断のつかないもので、時には「様子を見ましょう」で済まされていることもあるかもしれません。ほかの様々な症状と同様、やはり「念のため一度検査をしておきましょう」が眼科症状でも重要であるようです。

・インフルエンザ流行ってます(2013.02)

今年の冬はかなり早くにやってきてかなり寒い日が続いています。寒くなると例年流行するのがインフルエンザですが、今年はすでに流行時期になっています。この号が皆さんのお手元に届く頃には流行も下火になっていればとは思いますが。
今年のインフルエンザは咳、鼻水、高熱が主な症状ですが、頭痛を訴える方も多いようです。一般的に高熱が出れば頭痛も伴うことが多いのですが、症状が強いと、皆さん心配になり、インフルエンザの診断が出ても念のため頭部検査を希望される方がおられます。発熱すると軽度脳圧が上昇して頭痛が起きると考えられていますので、たいていの場合検査をしても、異常はないのですが、注意をしないといけないのは副鼻腔炎と髄膜炎です。インフルエンザ症状に伴いかなり鼻汁が見られる場合には、鼻の奥で炎症を来たし、鼻の奥は額につながっていますので、それが前頭部にまで炎症が及んでいることがあります。前頭部での炎症が強いと、うずくような鈍痛がしたり、うつむくと頭痛がしたり、起床時に頭重感が強かったりします。MRIやCTでは副鼻腔炎の状態が診断できますので、内服薬を処方して症状が続けば耳鼻科を受診していただくことになります。髄膜炎は比較的まれではありますが、通常の頭痛より程度が強い場合が多く、吐き気も伴うことも多く見られます。MRIやCTの画像で診断はつきませんが、頸部が前屈しにくいことや症状などからある程度判断し、髄膜炎が疑われれば入院加療も考えることになります。いずれにしても発熱からの頭痛が最も一般的ですが、解熱後も頭痛が続く場合は副鼻腔炎が、なかなか解熱せず頭痛が続く場合には髄膜炎が疑われますので、注意が必要です。
まずはインフルエンザの予防からですが、「かかったかな」と思えば早めの診断と治療を受けていただければと思います。

・二度目の巳年を迎えて(2013.01)

あけましておめでとうございます。 当クリニックも開院してちょうど干支が一回りし、二度目の巳年を迎えることとなりました。干支も一回りしたこの間を振り返ってみると、脳梗塞の治療は発症から3時間以内であれば劇的な効果の期待できるt−PAが使用されるようになり、急性期病院での治療期間も2週間程度に短縮され、その後は回復期リハビリ病院などでのリハビリ治療が集中的に行われるようになりました。脳血管内治療の進歩により、脳動脈瘤の治療は開頭せずにコイルで、頸動脈の狭窄では頚部を切開せずにステントで治療可能になってきました。診断機器も進歩し、MRIは1.5テスラ以上が一般的になり、撮影技術の進歩により、脳梗塞の診断も迅速に出来るようになりました。CTは撮影時間がきわめて早くなり、立体的な画像構成が出来るようになりました。脳卒中と共に皆さんが将来に不安を抱く認知症については、アルツハイマー型認知症はその原因解明が進み、アミロイドというタンパク質が脳細胞に貯まり、海馬が萎縮することが原因であるとわかってきました。MRIで海馬の萎縮の程度を測定したり、脳血流などを測定することで、早期の診断も可能になりましたが、アルツハイマー型認知症の治療は、既に症状が出始めてからでは遅いと言われています。症状が出るより何年も前にアミロイド蛋白が沈着し始めることから、その段階での超早期の診断と治療の方法が現在研究されています。
これからまた干支が一回りして3度目の巳年を迎える頃にはどれほど脳神経外科の診断や治療が進んでいるか想像も出来ないほどです。巳年は、草木の生長が極みに達し、新たな種子ができはじめる時期、という意味があるとのことです。当クリニックもさらなる成長を遂げるべく、最新の知識を以て最良の診療を行えるよう心がけたいと思います。
2012年度

・MRIとCT(2012.12)

今年も残すところ、あとわずかとなりました。おかげさまで当院も12年目の新しい年を迎えようとしています。10年一昔とは言いますが、日進月歩の医療の世界では二昔ぐらいに思えるほどです。特に診断機器における、診断能力の向上と検査時間の短縮にはめざましいものがあります。このため、当院のMRIも開院から5年で、それまでのMRIに代えて、より診断能力に優れる1.5テスラMRIに更新し、日々の診療に大いに役立っています。ただ、この間、当院のCTは当初のままでしたので、11年目を過ぎて、この12月より、格段に進化したCTを導入しました。撮影時間はごく短く、かなり小さな病変も検出することが可能になりました。そこで、新たなCTを導入したこの機会に、MRIとCTの違いについて書いてみます。まず大きな違いは、MRIは放射線は出ませんが、CTは放射線が出ます。撮影時間は、CTはMRIよりはるかに短時間で済みます。MRIは脳や脊椎、関節などをCTより精細に検査可能ですが、動く場所は苦手で、特に心臓血管の検査は、造影剤は使いますがCTが優れています(当院では造影検査はしておりません)。時に全身のMRI検査を希望される方もいますが、これは余り意味のないことで、それぞれの特性を生かした、検査が必要になります。たとえば頭部検査は同時に血管撮影もできるMRIが優先されますが、安静にできない子供さんであれば短時間で可能なCTを、胸部や腹部についても呼吸で動くため、CTがまず行われます。肩や膝などの関節内の状況はMRIがよくわかりますが、骨の状況はCTで立体的に見ることが可能です。それぞれ一長一短があり、どちらの検査の方がいいと言うものではありません。重要なのは正しい診断に最短距離で到達できるように、それぞれをうまく使い分けることにあります。
2011年度

・頭痛いろいろ 後編(2011.09)

前回のこの欄では、頭痛には原因に心配のない一次性頭痛と、血管障害などが原因の二次性頭痛があり、頭痛の種類も実に様々で、高い診断能力が必要であると書かせていただきました。実際この一ヶ月間だけでも、肩こりからの頭痛と自身で判断していた人が、MRI検査で、大きな頭蓋内出血であったり、頭痛と吐き気が強く、片頭痛と自己診断していた方が、MRI検査で異常はありませんでしたが、念のための髄液検査で髄膜炎と判ったりと、頭痛については、思いもよらないような疾患が隠れていることがあります。その意味でも、どんな頭痛があるかをよく知ることが求められます。一次性頭痛の代表的なものには肩こりからの頭痛である「緊張型頭痛」、若い女性に多い「片頭痛」、男性に多い「群発性頭痛」があります。このほか、症状で分類されたものに、針で刺された様な頭痛は「アイスピック頭痛」、突発的に強い痛みがする「雷鳴頭痛」、運動すると痛む「労作性頭痛」、睡眠中に目が覚める「睡眠時頭痛」などがあります。また食品で誘発される頭痛に、グルタミン酸ナトリウム(調味料)などで頭痛が起きる「中華レストラン症候群」、飲酒などで誘発される「アルコール性頭痛」などがあります。いずれも、画像診断などで心配のないものと判断された上での診断になりますし、それぞれの治療は鎮痛剤を中心とした対症療法にはなるのですが、ある程度、頭痛の要因を取り除くことが治療につながりますので、どのような頭痛であるかの診断は重要です。さらに、いくら心配ないと言われても、よくわからない痛みであるよりは、世の中にはこんな頭痛もあると知っていただくことで、安心にもつながると思われます。

・頭痛いろいろ 前編(2011.08)

頭痛は日常生活の中で最もありふれた症状のうちの一つですが、ひとくちに頭痛といっても、実に多くの頭痛があり、国際頭痛学会によって細かく、症状などによって分類されています。また、最近では頭痛クリニックや頭痛専門外来もあるほどです。頭痛がありふれた症状の割には、内科へ行けばいいのけ脳神経外科へいいのか迷ったり、わからない方が多いため、専門化して来ているようです。当院も私が脳神経外科医であることから、受診される方の中で最も多い症状が頭痛といえます。頭痛には大きく分けて、原因が血管障害などを伴わない1次性頭痛と、明らかな原因を伴う2次性頭痛に分けられます。クリニックを受診される多くの方は、頭痛の原因が血管障害などの重大な病気に伴うものではないかという不安を抱えておられます。つまり、診療する側のまず第一の役割は重大な原因を伴うものか否か、1次性頭痛か2次性頭痛かを区別することにあります。症状だけでこれを判断することは困難で、以前からこの欄で書いているとおり、MRI検査の結果、意外にもくも膜下出血であったり、脳腫瘍であったりすることは稀ならずあります。このため、MRIやCT検査などの画像診断が必須ともいえます。画像診断で1次性頭痛と判断できれば、次にどの様なタイプの頭痛で、どう治療すべきかが問題になります。心配ない頭痛とわかればそれで安心して様子を見る方もおられれば、この痛みを何とかして欲しいと言われる方もおられます。ここからが、実に多くの頭痛分類の中から、適切な診断を導くことが重要になり、診断能力が問われることになるのですが、様々な頭痛については次回のこの欄で紹介させていただきます。

・熱中症と脳梗塞 2011(2011.07)

今年は6月から気温が30度を超える日が続き、もう真夏のような気候になりつつあります。その上、節電の夏で、エアコンの設定温度も高くなり、すでに熱中症で亡くなられた方もおられるようです。当院でも患者さんの耳にタコができるほど「水分をとりましょう」と毎日のように指導しています。とりわけ、MRI検査で、血流の悪い部分や、脳梗塞の既往がある方には口を酸っぱくして水分摂取を促しています。夏場には熱中症と同様に、非常に脳梗塞の方が増えるからです。
当院でも6月の非常に気温が上昇した1週間に、普段の数倍の脳梗塞の方を診断し治療しました。話を聞いてみると、「炎天下で草刈りをしていた」など、熱中症と共通する要因が多くみられます。これは、熱中症も脳梗塞も体の水分が不足し、血液が濃くなる、いわゆる「血液どろどろ」の状態になっているためです。脳梗塞の方の中には、「気分が悪くてめまいがしていた」や「少し呂律が回りにくかった」、「手がしびれて、だるかった」などの症状があっても、熱中症ではと考えて様子をみていて、発症から4-5日もたってから受診された方が何人もおられます。およそ水分不足という同様な要因でおこる熱中症と脳梗塞は容易に区別できない場合があり、熱中症から脳梗塞に進行する場合もあります。早い目の水分補給がいずれにしても大事で、いったん症状が進んでしまっては、いくら経口から水分をとっても症状が進行することもあり、特に高齢の方は注意が必要です。熱中症は軽症であれば点滴加療で良くなることが多いのですが、脳梗塞の場合は入院加療が必要になることが多いため、自己診断は禁物と言えます。

・めまいの診療2(2011.06)

「めまいは」当院での日常診療で、頭痛、手足のしびれ、などと並んで最も多い症状で、はっきりとした診断が難しいもののうちの一つです。診断がつきやすいめまい症状は「起床時、目が覚めた際に、ぐるぐる天井が回っていた」で、原因の多くは、内耳の調節障害と考えられます。耳鼻科では異常はないといわれた方も多く、念のため脳梗塞などの異常がないか検査をしますが、問題がなければ、やはり内耳性のめまいという診断になります。しかし、めまいの診断で難しいのは、これ以外の症状、「急にふわっとした」、「急に物が揺れるように見えた」、「地に足がついていない感じがする」、「頭がふわふわする」「上を見上げたらぐるぐる回る感じがした」など実にさまざまな表現の症状があり、それぞれの原因が多岐にわたる可能性があるからです。内科疾患なら貧血や不整脈、起立性低血圧、心療内科では、ストレス、不眠、婦人科なら更年期障害、整形外科なら頚性めまい、そして脳神経外科であれば脳梗塞、脳出血、脳腫瘍など、とても一度の診察で、すぐに診断がつくとは言い難いほど様々な原因が考えられます。私の日常診療では、症状から最も考えやすい疾患を考えるのですが、脳神経外科である当院を受診される患者さんに共通して言えることは、やはり「頭の病気では?」ということです。すぐに原因を特定するのは困難でも、脳梗塞や脳出血など「心配なめまい」でないかをすぐに診断することが当院でのめまい診療の第一歩と考えています。一過性のものであれば心配ない場合が多く、慢性のめまいであれば何度か診察を重ねて、診断にたどり着ければと考えています。

・脳血管内治療(2011.05)

脳血管内治療は、脳血管疾患を切らずに、血管の中から治療しましょうという方法です。最近10年間の脳神経外科領域で最もめざましく進歩した治療法と言えます。古くから、脳神経外科で利用されるカテーテル法は、細い管を大腿の血管や手首の血管から挿入して、血管が細くないか、動脈瘤がないかなど、主に検査のために利用されていたのですが、脳血管内治療はこの方法を、様々な器具を用いて、治療に応用したものです。例えば、脳動脈瘤であれば、今まで、頭蓋骨を切って、顕微鏡で動脈瘤を確認して、クリップで動脈瘤を挟み込む手術していましたが、血管内からの治療では、カテーテルの中をさらに細い金属製の繊維のようなものを通して、それを動脈瘤の中へ詰め込んで動脈瘤が破裂しないようにできます。また頚部血管の狭窄症では、これまで頚部の皮膚を切開し、さらに頸動脈も切開して血管の余計な盛り上がった壁の部分を削って、血管を広げていましたが、血管内治療では、心臓の冠動脈が細くなった場合と同様に、血管の中で風船の様なものを膨らませ、ステントと呼ばれるメッシュ状の内壁で血管の壁を被って血管をひろげます。いずれの血管内手術も以前までは直接切開する手術より危険度が高かったのですが、使用する器具などの改良で、今では直接手術と同等かそれ以上の治療結果が報告されるようになってきています。病院によっては、可能であれば、動脈瘤や頸動脈狭窄症などに対して、血管内手術を第一選択にして治療しているところも出てきています。切らずに、安全に治療ができる可能性のあるこの方法は、今後ますます発展するものと期待されています。

・抗血小板剤 休薬する?(2011.04)

普段、抗血小板剤、いわゆる血液をさらさらにする薬を服用されている方は、結構多いと思います。
当院でも将来の脳梗塞の危険性が高い方には、脳梗塞の予防薬として、商品名ではバイアスピリン、プレタール、プラビックスなどの抗血小板剤を使用し、脳梗塞の病歴はないけれど、MRI検査で、大脳白質病変と呼ばれる血流の悪い部分や、ラクナ梗塞と呼ばれる血管の詰まりのある方にはエパデールなどの動脈硬化予防薬を処方することが多く、いずれも脳梗塞の予防に大いに役立っていると思われます。しかし、以前からですが、最近では特に、歯科で抜歯の際や、消化器の内視鏡のさいに、抗血小板剤は、「1週間程度止めるように言われましが、止めて良いですか」との質問や許可を求められることが増えています。抗血小板剤を服用する方が多くなったからとも言えますが、抗血小板剤の重要性に気づかずに「これぐらいなら」という風に治療する側も、患者さんの方も思いがちになっているようです。しかし、予防的に服用しているお薬ですが、これまでの経験上、抗血小板剤を1週間休薬して脳梗塞を発症した方はすごく多いとは言いませんが、何人もおられます。抜歯をして出血が止まらない、あるいは内視鏡で粘膜を傷めて出血が止まらなかったら、などのリスクは当然理解できますが、脳梗塞を起こすほどのリスクと比較すればどうでしょう?このような場合の一つの目安として、様々なこれまでの統計や調査を集計して定められた「脳卒中ガイドライン」では、抜歯などの小手術では抗血小板剤は続行してよく、消化管内視鏡に際して、アスピリンは3日間、プラビックスは5日間、プレタールは2日間の休薬、大きな手術に際して、アスピリンは7日間、プラビックスは14日間、プレタールは3日間を目安の休薬と定められています。抗血小板剤の無用な休薬による脳梗塞の発症を防ぐためにも、このことを参考にしていただければと思います。

・認知症のお薬が増えます(2011.03)

認知症は、いまだ根本的な治療があるわけではありませんが、近年はお薬による薬物療法、音楽療法や運動療法などの非薬物療法、これらに身体介護などを加えて様々な方法でその進行を抑制することが可能になってきています。中でも薬物療法は、最近ようやく我が国でもいくつかの治療薬が承認され、注目されています。これまで世界的には4剤の認知症治療薬がありますが、我が国ではこのうち1剤(アリセプト)しか承認されていませんでした。このため薬物療法の選択肢が限られ、副作用があったり飲み込んだりするのが困難な方にはお薬による治療ができませんでしたが、今後2剤(レミニール、メマリー)の飲み薬と1剤の貼り薬が認可され、使用できるようになる予定です。薬剤の作用によって大きく異なるものもあれば、似通ったものもあり、すべてを一度に全部使えるわけではありませんが、これまでの内服薬であまり効いていないような方であれば、お薬を変えることができますし、作用が異なるものであれば追加して2剤を使用することもできます。嚥下が困難な方であれば貼り薬を使用できるようにもなります。もちろんこれまでのアリセプトが効果的であった方がわざわざ新しい薬だからといって変える必要はありません。また、認知症の治療は薬物療法がすべてではありませんし、症状の進行を抑制する程度までしか、現状では治療できません。お薬に対する過大な期待はどうかとも思いますが、いずれにしても、選択肢が増えることで治療の可能性が広がるといえます。お薬が合わなかったり飲めなかったりしていた方には朗報といえます。

・ホントに怖い脳の病気(2011.02)

年末年始、この欄で、脳の病気について「ちょっとしたことでも重大な疾患が見つかることがある」という、「本当は怖い家庭の医学」的な内容を書きましたところ、「先生があんな怖いこと書くから、普段なら気にしない程度の症状やけど受診しました」と半ばおこられながら診察することがふえてしまいました。少々、脅かせ過ぎたかなと思いつつ、次回はやんわりとしたことを書くつもりでいましたが、この一ヶ月を振り返ってみると、脳梗塞や脳内出血など、脳卒中で入院していただく必要のあった方が通常よりもかなり多い10名以上で、くも膜下出血の方もお二人おられました。救急病院並みとまではいかずとも、それに近いような脳卒中の診断数かと思います。ほとんどの方の症状が比較的軽く、幸い早期に退院出来る状態ですが、あと少し遅ければ、大きな症状につながっていた可能性もあります。それもこれも、少し怖がらせた部分もあるかも知れませんが、やはり普通なら「様子をみよう」と思うような症状でも、「念のため」と思って当院を受診していただいたことが早期発見につながったと思われます。多くの方に、MRIなどの画像検査を受けていただき、ほとんどの方が、心配のない結果に安心していただいておりますが、ほんのわずかな確率でも重大な疾患は、必ず見つかります。このほんのわずかな確率の疾患をどれだけ早く、どれだけ多く診断できるかが、当院のような、病院よりは機動力のある診療所が果たすべき役割であると、あらためて認識し責任の重大さを感じている次第です。

・10年目を迎えて(2011.01)

あけましておめでとうございます。
当クリニックと小欄もおかげさまで今年、10年目を迎えることになりました。新年はのんびりと正月を迎え、ゆっくりと平穏な診療を開始しようとややゆるんでいたところ、やはり様々な疾患はそんなことには関係なくやってきます。年末にも書きましたが、今年もすでに何例かの「えー、うーん」というような事があり、診療初日から日々緊張した診療を続けています。まず今年初めの「うーん」は、若い男性で、年末から手のしびれや顔面の違和感があるとのことで来院されました。顔面の違和感で異常が見つかる場合は少なく、手のしびれは頚椎症ではと考えながら診察し、念のため頭部のMRIを検査したところ、頭蓋内の大事な血管が細くなり脳梗塞を起こしていました。若い男性で脳血管障害はまずないと考えていたため、やはり先入観は禁物と気を引き締めていたところ、翌日には、起床時わずかにふらついてその後左下肢に何となく違和感がある、女性が受診されました。歩行には問題なく、頭痛や吐き気もありませんでしたので腰椎からの症状も考えながら検査したところ、頭部MRIで脳内出血でした。違和感や何となくのふらつきなどの症状は、客観的には軽微なように聞こえても、診療所を受診しようと思うほど、ご本人にとってはいつもの身体状態とは違う重大な変化であり症状であることを、あらためて確認させられました。今年1年も様々な知識と経験を積み重ね、的確な診断と適切な治療を心がけて診療にあたりたいと思います。今年もよろしくお願いいたします。
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